フェイラ・ジ・サンタナ市へ 22 abril 2006
早朝6時半に青木宅をおいとまする。
重ね重ねながら、大切なライブの当日に朝早く起こしてしまう事の申し訳なさよ。
かと、言って黙って立ち去るのも礼儀の問題、鍵の開け閉めの問題等あり出来ぬ事・・・。
別れを惜しみつつ、タクシーで国内線専用のコンゴーニャス空港へと向かう。
7時頃には空港へと到着し、早々にチェックインを済ませる。
そのチェックインは非常にスムーズであった。
8:57発のTAM JJ3216便は各駅停車であった。
まず10時にミナスジェライス州の州都、ベロオリゾンテ市へと降りる。
この街もミナス派の本拠地として音楽が面白いらしい。
また近くにはオウロプレットという世界遺産の街がある。
時間が許せば、これらにも是非寄りたかったのですが。
その後ようやくサルバドールへ。
12時ちょうど着。
涼かったサンパウロから、いきなり熱帯へとやって来た事をじっとりとにじむ汗に感じる。
空港のツーリストインフォメーションでホドビアリア(長距離バスターミナル)へ向かうバスの停留所を聞き出し、言われたとおりに空港一般駐車場裏の停留所でサンジョアキン行きのバスを待つ。
しばらく待っていると、他の旅行者から声がかかった。
誘われるがままにタクシーに相乗りする。
ホドビアリアまで一人15ヘアイス。
ちなみにサルバドールの空港は、市街地までやたらと遠いので気を付けた方がよい。
ホドビアリアで次の目的地、フェイラ・ジ・サンタナ市への切符を買ってバスに乗り込む。
12ヘアイス。フェイラ・ジ・サンタナ市へのバスは頻繁に出ているようだ。
フェイラ・ジ・サンタナ市の事を知るものは少ないと思うが、当市はバイーア州の中で州都サルバドールに続いて二番目に大きい。
そして4月のカーニバル「ミカレタ」は、この時期のカーニバルとしてはブラジル最大のもので、知る人ぞ知る大イベントなのだ。
私はそれを当市のインターネットサイトで知った。
ただし、ブラジル到着時と日程が重なる事もあって、当初来訪する事を半ば諦めていたのだが、カナさんの強い勧めもあり思い切って強行日程を組んで、ここへと来る事にしたものである。運良く思い立った翌々日の航空券も取れた。
これは何か巡り合わせがあるに違いない。
2時間かけてフェイラ・ジ・サンタナ市へと向かう間、雨に降られてちょっと天気が心配になったが、着いてみれば当地、フェイラ・ジ・サンタナ市の天候は晴れ。
ここでの宿情報はまったく持っていなかったので、ホドビアリア周辺にある宿の一つに泊まる事にする。
1泊30ヘアイスでバス、トイレの他、テレビ、エアコン付き。ただし蛾等の虫が多いので、それらが苦手な女性が泊まるには適さないであろう。目の前にカーニバルの会場が見える。
そういうわけでホドビアリア付近が当地のカーニバル「ミカレタ」のメイン会場なので、すぐに宿を飛び出してカーニバル見物へと向かう。
ものすごく、それこそ日本で言えば、空港連絡バスよりも大きいトラックにしつらえたステージにバンドをのせて、車体にマウントされた巨大スピーカーからその演奏する音をまき散らしながらトラックは会場の道路をゆっくりと進む。
トリオエレトリコである。
ものすごい音量だ。この車に目の前を通り抜けられるとその瞬間、鼓膜が破れそうになる。
トリオエレトリコ
トリオエレトリコの楽器群
パレードする楽団の音楽は、レゲエやロックからご当地音楽までバラエティに富んでいる。
当地の音楽はサンバと同じように、スルドーのオフビート感覚がベースになっている。
ただし、ドラムセットやコンガ、ティンバレスも入って、サンバよりはずっとビートのキツい音楽をかたち作っている。
その他の特徴としては、いわゆるブラジリアンクラーベや3:2のソンクラーベ、あるいはルンバクラーベがピックアップされる事であろうか。
ドラムセットのハイハットは基本的には16ビートを刻み、またスルドーは複数個セットアップされていて、中にはオンビートを刻むものもある。
ベーシストもいる。エレキギター、時にはサックスなどもまじえながら、その上にボーカルが乗る。
ところでブラジル音楽を支えるこのサンバ系二拍子感覚は、一体どこから来たものであろうか。
一説にはアンゴラ系とも言われているが、同じアンゴラ系でもキューバのカラバリなどは徹底して6/8拍子を守り、サンバとはかけ離れたリズムフィーリングを持っている。
この日、なぜかサッカーブラジルナショナルチームのユニフォームにミニスカートをはいた男性(!!!!)があちらこちらに集団でたむろしていて、私は彼らの目にはモロ外国人に映り目立つから、彼らオカマに何度も囲まれては胴上げされ、またダンスを強要され、ちょっと参った。
オカマ
道の途中でイスラエルから来た若者二人に声をかけられる。
カメラを持っていないので、写真を撮ってあとでメールで送ってくれとの事。
もちろん快く引き受ける。
延々とやって来るトリオエレトリコのパレードを適当に見て回った後、街中の薬局へ蚊取り線香と殺虫剤を買いに行く。
今回泊まった宿には窓ガラスがなかったので、蚊やら何やらの虫類に部屋へと進入されるのが心配だったからだ。
窓にガラスが無いというと、ひどい宿のように想像されるかもしれませんが、中南米の民家では日本に建つ民家の窓に見られるようなガラスサッシはなく、木製のブラインドになっているところが多いのである。
その後、一度宿へと戻ったが、辺りが暗くなる頃再び街へ出てみると、のんびりとしていた昼間からはまったく想像出来なかった人混み。普通に歩く事などとても不可能な程の密度で、人の波がどこまでも続く。
会場には二階建てになっている、メイン観覧席のようなものもあり、ひょんな事からそこにしばらくの間お邪魔させてもらう事が出来た。
ここから(二階席の高さ)からだと、トラックの上で演奏しているバンドがちょうど目の高さに来て、迫力が増す感じがする。
たくさんのバンドが通った中でもボディペインティングに羽根飾り、インディアンみたいな格好をしたチンバラーダには特に会場が盛り上がっていた。その時、隣にいた売り子のお姉ちゃんが、商売を忘れて踊り狂っているのを間近に見る。
Timbaladaのトラック
宿に帰った夜半過ぎとなっても、今見たばかりの会場の様子をテレビで生中継していた。
いったいいつまで続くのだろう。
本当にこのミカレタを見に来てよかった。
大満足の一日である。
まだ序章に過ぎないブラジル音楽紀行が益々楽しみになってきた。