サルバドールで見たホーダ・ド・ショーロ 25 abril 2006
午前中から今度こそ自分の足で街を巡ってみる。
まずは黒人達の手によって建てられたというホザリオ・ドス・プレートス教会を右に見ながらペロウリーニョ広場を下り、降りきったところを左へ曲がる。さらにもう一度細い路地に入りずっと下っていく。すなわち、昨日ホナルド君に教えてもらった道を下りてコメルシオ地区という、ペロウリーニョの崖の真下にある街を散歩してみる。
ホザリオ・ドス・プレートス教会
コメルシオ地区
電気屋でコンセントを分岐する三口タップを買った。
ブラジルのコンセントは日本やアメリカ合衆国の型のものも、ヨーロッパ系の丸い差し込みピンのものも両方させるようになっていてとても便利である。
一通り下の街をまわって有名なラセルダエレベーターに乗り、再びペロウリーニョへ。
ラセルダエレベーター
エレベーターで上ったところにある広場がリオ・ブランコ宮殿前のトメ・ジ・ソウザ広場。広場を抜け左へ進むとすぐ旧ブラジル総督公邸前の細長い広場、ここには噴水がある。目の前が横向きのバジリカ大聖堂。バジリカ大聖堂の正面がジェズス広場。左手にサンペドロ、ドス、クレゴリス教会を見ながら広場を進んだ正面はサン・ドミンゲス三世教会、右奥に見える広場に道路をまたいで入るとその正面が、黄金で名高いサン・フランシスコ教会だ。
リオブランコ宮殿
一通り散歩して宿へと戻ろうとしたら、ツーリストインフォメーション前で、先日カンドンブレツアーでお世話になったツアー会社の、日本語も話せるジャクソン君とばったり会ったのでしばらく話し込む。
ジャクソン君と
すぐ目の前にある、宝石店へ一緒に行ってみる事にする。
店の女主人、ヒタさんとは、偶然にも生年月日が全く一緒で意気投合する。
いろいろな宝石を見せては詳しく解説してくれるけれど、残念ながら石っころには、あまり興味がないのである。
それにうっとおしいじゃないですか、指輪とかブレスレットとかネックレスとか。
とはいえ、これだけエメラルドを中心に見せて頂くと、どんな石がより価値を持つものなのか、少しわかってくる。
ありがたいことである。
宝石店の入り口にて
宝石店の隣にある土産物屋の入り口にて
そうこうしているうちに夕方が迫ってきたので、おいとまさせて頂く事にする。
そう、この後、ビラ・ベーリャ劇場で大変楽しみにしているホーダドショーロがあるのである。
少し遅れて17時半頃会場に着くと、すでにショーロは始まっていた。フルートに弦楽器三名、それに打楽器(パンデイロと横向きのスルドー?)といった構成。
こうして聞いているとフルート奏者、石井幸枝さんがショーロに惹かれるのもよくわかる気がする。
この編成の中でただ一人息のはいるフルートはひときわ艶やかで表現力があるように感じる。
今晩はステージでありながらもホーダなので、演奏者が次々と入れ替わる。
演奏者によるプレイの違いがよくわかるので、これがまた、ありがたい。
打楽器、スルドーもパンデイロも何人か出てきたけれど、色の黒い人ほどビートの切れがよく、また音がよく通る。
正確、不正確といったものではなく、ビートの躍動感といったものが全く違う。
打楽器は黒人に任せておけという事であろうか。
曲のテンポは非常にゆったりとしたものからとても速いもの、もちろん中庸なものとバリエーションに富んでいる。
今日の、この音楽は私の心にとても響く。
ショーロの音楽は、ヨーロッパの和声感覚とアフリカのリズムが上品に、絶妙なバランスでミックスされて非常に魅力的なものに感じる。
時にアドリブが混ざるが、長音階と二種の短音階を使ってアドリブするので、アドリブの苦手なクラシックの人にもこれはとっつきやすいのではないか。
逆に、ジャズをお勉強してしまった人にはオルタードやコンディミといった武器が禁じ手となってしまうので、辛いところがあるかもしれない。
ステージは一度入れ替わり、カシオトーンみたいなキーボードが二台出てきて、女性奏者二人による鍵盤でのショーロとなる。
しかし、どうも、あの安っぽい電子音は頂けない。
とはいえ、貴重なものを聴かせて頂いた。
ステージは、再び最初と同じ編成に入れ替わる。
気が付いてみれば、入った時にはガラガラだった客席が楽器を持ったお客さんで一杯である。
ショーロはリオだけのものではない、と実感する。
実際、今日の演奏は愉快で美しくて、素晴らしい。
宴もたけなわの頃、後ろ髪を引かれながらも会場を後にする。
なぜかというと散歩していた時に、野外ステージへとスピーカーを開けていたお兄ちゃんに今晩ライブがあり、雨天でも決行するという事を聞いていたからだ。
降りしきる雨の中、会場のジェスス広場へと行ってみると、何とPAが撤収されてしまっている。
さすがにこの雨ではやらないらしい。
今日は日が悪かったと思い、あきらめて宿へ戻ろうとすると、宿と一本違いの路地に人だかりができている。
何だと思って行ってみれば、オロドゥンのコンサートがあるという。
かなり迷ったけれど、この人混みの中で見ても楽しくないだろうと考えてパスすることにした。
オロドゥンの野外ライブ会場
私は例えば行列の出来る店の行列には決して加わらない。それなら空いている他の店で気分よく食べる。
並ぶの苦手なんです。
あきらめて帰る途中、今度は何やら集団で叩く太鼓の音がする。
何かと思い行ってみると、打楽器集団のパフォーマンスであった。
道ばたの太鼓集団
派手でわかりやすい。
このシンプルなわかりやすさは、大衆の心を掴むのではないか。
どこか、組太鼓のパフォーマンスとも似ているものを感じる。
キューバのリズムが持っているような複雑なシンコペーションはここにはない。
スルドーの作る大きな二拍子にのって、甲高い音のする太鼓たちが揃ってクラーベ系のリズムを刻む。
ときおりシンプルなキメを挟む。
すごい音量である。
生楽器なのに私の耳には痛い。
しばらく聞いた後、今度こそ宿へ帰ろうとする。
が、オロドゥン野外コンサート会場前の大スクリーンにLiveの様子が映し出されているのが目に入ってしまい、しばらく見続けた。
リズムの組み立ては先ほどの打楽器集団とほぼ同じである。
それは、私の思い描いていたオロドゥンとは少し違うサウンドだった。
しかしサルバドール、音楽に溢れた街である。
この後も明日アシェのグループ、そして明後日にはいよいよフォホーを聴く事ができる。
私はこのフォホーを特に楽しみにしている。