キースジャレットを聴く 1 oct. 2006
朝からキースジャレットを聴く。
ディジョネットは自身で率いるメチャ売れのグループを持ちながら、あれだけのサポートをしていたとはすごいものだ。
今はどうしているのだろう。
実は現在のジャズシーンにまったく疎い。
キューバに初めて行った1996年を境にその後の数年間、まったくキューバもの、特にサルサしか聴かない時期があった。
そうしてスタイリッシュなラテンキューバン音楽にどっぷりと浸かった後、久々にジャズを聴いたらその時の耳にはジャズがまったくデタラメな音楽に聞こえた経験は鮮烈だった。
そりゃそうだ、ラテンキューバン音楽は「ラテン」という言葉が持つ、大らかさやアバウトさとは裏腹に、決まり事の多い大変スタイリッシュな音楽なのである。
それに対してジャズはインプロビゼーションが命だから、スタイリッシュな音楽とは遠いだろう。
意見は分かれるところだろうが、ジャズの良さはスタイリッシュなところなどにはないと私は思う。
ジャズは全員が思うがまま自由に、しかしその場で感じ合いながらブロウした結果が全てだろう。
私はアレンジされたまとまりの良さをジャズには求めないな。
西洋クラシック音楽が持つような濃密な構成感をジャズに求めたらジャズはジャズでなくなってしまう気がする。
もちろん重厚にアレンジされたものは美しい形を示すけれど、それはジャズの魂- インプロビゼーション-とは別のものではないか。
ラテンジャズという音楽の中では、そこいらへんの兼ね合いがうまくなされているように感じる。
ラテンジャズの持ち味の約半分はクラシカルな響きだ。
もう約半分は世界中で最も洗練された形で残った、黒人が持つリズム感覚である。
つい最近、またジャズをよく聴くようになったけれど、今はデタラメには聞こえてこない。
自分の中で何かバランスが取れてきたのだろうか。
とはいえ、なぜか新譜はラテンものしか買わない。
意識してそうしているわけではありませんが、なぜかそうなってしまう。
帰国したらジャズの新譜もまたあさってみようか。
ベランダから海を眺めると、昨晩は半月だったというのにすごい満ち潮だ。
ベランダの下まで海になっている。
もしかしたら赤道付近では大潮、中潮、若潮、小潮なんて違いはないのか、あるいは影響が少ないのでしょうか。
もちろん外海に面した島だから、湾奥、例えば有明海のような潮汐差は生じないはずとしても。
そこいらへんの物理には弱い。
とにかく大潮であるはずの満月の日に見ようが、その逆にこうして半月の日に見ようが、私の目にはいつも同じくらいの満ち引き加減に見える。
いつも満潮時には部屋の下まで海になり、干潮時には沖の、あの海の色が変わる少し手前のあの線まで磯が現れる。
そういやマレーシアで手に入れたAnakkuってブランドの、おしぼりウエッティーはクオリティが高い。
日本最高品質、ダイエーはセービングブランドのそれに肉薄するクオリティだ。
大学生の頃からか、おしぼりウエッティーが身近にないとダメになり、これは私にとって必需品。
しかもあれば良いというわけでもなく、こればかりは安物を使う気にはならない。
日本では長年に渡っていろいろと試した結果、ダイエーのが最も品質が良いのだが、近頃、社の退潮著しいのが寂しいところ。
まさかあのダイエーが撤退に次ぐ撤退を重ねるとは、十年前には思いもしなかった。
今朝も昨日に引き続いて一日の始まりは曇り。
今まで見えなかった遙か沖の小島が、なぜか今日はよく見える。
涼しいので、ベランダでピアニカの練習。
苦手なブルースとか、吹き続けてみる。
もちろんビール片手に。
ブルース、物心付いたときからしっくりこない音楽だ。
なぜだか理由はないのだが、生理的なものだと思う。
理屈抜きに私の感覚は西洋のハーモニーに、より広い窓を開けている。
バロックから近代までの、西洋古典音楽が持つハーモニーの財産が好きだ。
だから調性抜きに吹き続ける事も可能なブルーノートスケールってやつが、どうもしっくりこないのだと思う。
ブルースを吹いていても、必ずコードに沿った展開を求めてしまう。
黒人のもつリズム感覚は素晴らしいが、和声においては西洋に魅力を感じる。
これは日本も含めて世界中のポピュラー音楽がたいてい黒人のリズムの上に西洋の和声を鳴らしている事からも証明されるだろう。
それもあって私はジャズではなくラテンに走ってしまったのかもしれない。
ラテンキューバン音楽では西アフリカの持つ強烈なリズム感覚と西洋のハーモニーが見事に調和している。
よく聴けばさらにイスラム世界の影響も濃厚ではあるが。
唯一、東アジアの影響はあまりないかもしれない。
東部のカーニバルで演奏される音楽にチャルメラが出てくるくらいか。
これは地理的にも非常に遠いから無理もない事だろう。
キューバからヨーロッパやアフリカの大陸は、思いのほか近い。
朝、スペシャルチキンバーガーというのを露天で食べてみた。
4.5RM。150円弱だがすごいボリュームだ。
スペシャルチキンバーガー
チキンに卵が丸1個、チーズがたっぷり。
エッグバーガーやチーズバーガーは2RM、ただのチキンバーガーは3RMだ。
インダーで頼むともう少し高い。
桟橋をぶらつく。
波穏やか。
透明な海水。
今日はクラゲがいない。
が、桟橋周辺には船から漏れた油が浮いている。
今日は日曜のせいか、普段より停泊している船舶の数が多い。
ティオマン島行きすべての船舶の終着港はサランになりがちだから、これはサランの良くないところ。
パヌーバなら海面に油が浮くなんて絶対にない。
とはいえ、こんな風にはっきりと海面に油が浮くのを見たのは今回が初めてだ。
どの船だか、たまたまエンジンが不調なのだろう。
そういえばエンジンのカバーを開けて点検している船がある。
今日は桟橋周辺で泳ぐのはやめよう。
と、いうわけで桟橋のずっと向こう、一昨日、目を付けておいたサランサヤンリゾート前の珊瑚を目指して泳ぐ事にする。
・・・ここの珊瑚は、すごい!
灯台もと暗し、というか、今までこちらは浅瀬しか泳いでいなかったのだが、沖に向かってどこまでも珊瑚の群生が続く。
魚が、手の届く場所で群れ泳ぐ。
白い砂地の合間に珊瑚が生えて、とても綺麗だ。
しかも海底に起伏があり、非常に動的な景観である。
桟橋の突端を右に見ながら泳ぎ進むと、遙か沖にまで珊瑚礁が続く。
深さは10mくらいのものだろうか。
沖にと言っても、左手には断崖の突端がある。
ここはまだかろうじて湾の中だ。
珊瑚礁はまだ沖へと続いていたが、クラゲの群れに囲まれそうになったので、残念だが果てまで確かめに行くのはあきらめる。
砂地に珊瑚礁が広がっているから、見た目は美しいものの、砂をまいて浅瀬での水は若干透明度を落とす。
午後はひたすらピアニカを吹き続ける。
ダブルタンギングとスケールのタイミングがなかなか一致しない。
どちらか一つならOK。だけど、それぢゃ意味がなぃ。
ブラジルのティコティコとかローロを練習してみたのだけど。
私の場合、まだ指で同音連打を切った方が綺麗だ。
こちらは得意。
ピアニカはどちらもOKなのがちょっとずるいところ。
もちろん指の連打で切るのとタンギングで切るのではニュアンスが全く変わってきますが。
あわせて今回作った曲をいくつか若干手直しする。
新曲はこうして何度も吹いてゆくとこなれてくる。
インダーのウェイター、ラーちゃん(ラダ)が夕方の休み時間にレストランで音楽をかけながら地元の人たちにダンスの指導をしていた。
どこの世界でもゲイは大抵踊り上手だ。
キューバのバイラリン(男性ダンサー)はみんなホモだって、友人のバイラリーナ(女性ダンサー)が言っていたっけ。
マレーシアの踊りも同じアジア同士だから、日本の盆踊りに近いテイストを持っている。
手がひらひらする感じ。
大まかに分けてアジアの人は踊りの表現が手に集中し、欧米の人は足に、そして黒い人は腰に集中する。
一応、こうして度々日記に付けておくが、ソニーのMDレコーダーMZ-B10はもう12日間電池を換えずに使い続けている。
かなりの時間大音量で音楽を聴いているが、それに私は眠りに着く時にも何かしら耳元で音楽をかけるけれど、コイツの電池残量マークはまだ半分を指し示している。
すごいスタミナだ。
ちなみに充電池はリックベリーってメーカーの単三型2400mAh、2004年4月に購入したもので、もう既に2年半も経っており、いい加減くたびれているはず。
これだけもつなら、ちょっとした旅に充電器など、必要ないかも。
今はこの秋にやったライブやリハのチェック中。
この作業も色々なアイデアの宝庫だ。
また、様々な物事が演奏している時より、客観的に見える。
その後、久々にペルーチンを聴く。
やはりリズムが乾いているな。
この爆発力!
今夜は日曜だから結構レストランが混んでいる。
ラーちゃんは元気に給仕していたが、ミスターポーはご飯の時間なのに珍しく見かけなかった。
相変わらず野菜カレー。それにこちらの定番ドリンク、ミロを頼む。
久々に、というか、こちらに来て二度目のアイスクリームを追加注文してみた。
3スクープで4.5RM。
結構安いんじゃないですか。
ちなみにキューバのコッペリアでは30円で皿一杯のアイスクリームが出てくるけれど。
あれは5スクープだったかな???
それに生クリームやクッキー、あとシロップがかけられて。
そろそろ残してきた様々な事が気になりだし、日本に帰りたくなってきた。
帰国は今週末。
本日は日曜日。
食後、桟橋へ散歩。
今まで見たなかでも最も潮が引いていた。
見上げればまだ月は半月に近いのだが。
風がないので水がクリアだ。
クラゲの個体は一つも確認することが出来なかった。
これもまた珍しい。
帰りがけにお爺ちゃんのビール屋でスコールを3本買った。
お爺ちゃんはもしかしたら、意外に若いかもしれない。
腕にタトゥーがあった。
昔若い時にお爺ちゃんがインドだかタイに行って張り切っていたときの写真が二枚、店の窓に飾ってあったのを、久々にしげしげと眺めてみた。
一人、放浪の旅でもしていたのであろうか。
月が明るいし、風もないから、明日の泳ぎが楽しみだ。
部屋に1mmくらいの羽虫が目立ったので、今夜は殺虫剤を撒いた。
一発で解決。
殺虫剤はこんな野生味溢れる不便な場所の場合、必需品でもあるが、買うなら迷わずフマキラーにしたい。
過去、マレーシアでもブラジルでもよくわからないブランドの殺虫剤は霧が荒く、水滴が垂れるように撒いた場所が湿気たものだ。
特にベッドの上は気持ち悪い。
その点、このフマキラーは日本で使っている殺虫剤と同じような霧の細かさで安心できる。
ところでもしかしたらフマキラーって、日本のブランドなのでしょうか?
フマ+キラーは西+英で煙+殺だし、それを「噴霧」にかけたものか、迷うところ。
さて、今夜も眠くなるまでピアニカの練習だ。
みんなも頑張ってるのかな。