解剖学博物館&法医学博物館 6 oct. 2009
チャオプラヤー川をはさんだ対岸にあるシリラート病院の解剖学博物館と法医学博物館に行った。
(チャオプラヤー川に群れる魚)
(シリラート病院)
解剖学博物館。
人間の内部をこれほど事細かに知る事はそうそう出来ないだろう。
こまかな部分まで人体が輪切りにされて標本化されている。
頭部から胴体から四肢からその他もこまかく。
神経の標本などもどう取り出したものかわからないが、すごい。
おまけに指先のみがくっついているのがリアルだ。
他にも様々な成長段階にある胎児や、シャム双生児の様々なタイプがホルマリン漬けされていた。
標本ではないが、胎児の段階で人間の性がどのように分かれてゆくのかについても展示があり、興味深かった。
医師や軍人、そのほか偉い人の中には、自ら献体して標本となっている人がいる。
生前の写真と骨格標本の一致具合が何とも言えない。
身体の内部がどうなっているのかよくわかると、色々な事に対処出来る。
音楽でいえば身体をどう使えば良いのかがよくわかる。
筋肉の付き方、骨格、神経系統のすべてを、どうなっているのか把握しておく事は演奏家にとっては大切な事だろう。
法医学博物館。
こちらは様々な不自然死を扱った博物館だ。
色々なケースに及ぶ、射殺体、絞殺体、撲殺体、轢死体、刃物で切られた死体、爆発で損傷した死体、それからリストカット等の自殺した者の死体などの標本が展示されている。
絵ではなく、標本であるのがリアルだ。
展示方法もそのままのものもあれば断面にスライスしたもの、骨だけにしたもの等、様々だ。
凶器や被害者の衣服の展示もあって、生々しい。
こうしてみると、人間はちょっとしたアクシデントや犯罪に遭遇する事によって簡単に死んでしまう事がわかる。
たぶん、それは実にあっけないものだ。
それから見せしめのつもりなのだろうか、凶悪犯罪者の全裸遺体が蝋人形かミイラのようになって展示されているのが、悲しくもある。
標本ではないが水死体の展示もあり、書物で読んだ通りの体であった。
からだはブクブクに膨れあがり、唇が腫れ上がって舌と眼が飛び出ている。
さらには寄生虫や蛇、蚊、蝿、サソリ、ムカデ等々、人間に害を及ぼす生き物の展示もあった。
これはバンコクに来たなら絶対に立ち寄るべきだろう。
生きるとは何なのか、見つめ直すきっかけを与えてくれるかもしれない。
これほどショッキングだったのはコロンビアのボゴタで立ち寄ったミイラ博物館以来だ。
いや、今回のはそれをはるかに凌いでいる。
思いっきり気持ちの悪い体験をした後は、再び寺巡り。
王宮の対岸にあたるこの付近にはガイドに載ってはいなくても人々から崇敬を集めている寺がいくつもある。
それは祈りの姿からよくわかる。
訪ねた中でかろうじて名前がわかるのは、ワット・ラカンのみ。
中には日本でいうところの海軍神社もあった。
こちらの岸辺では最後にワット・アルン、暁の寺を再訪。
タイのお寺は総じてきらびやかであるが、この暁の寺だけは渋い。
この渋さが自分の心には響くようだ。
さて、再び船で市の中心部側へと戻って来る。
ワット・ポーの前から44番のバスで民主記念塔へ。
この界隈にたたずむ二つの寺を巡った。
ワット・ラーチャナダーは黒光りした柱?が印象的。
ワット・スラケッは高台にあり、バンコク市内を見渡す事が出来る。
そういえばバス停で、おろしたての有料バスマップにいきなりボールペンでマークして勝手にお寺の名前を書き付けてきた輩がいる。
しかも「オレが名所を教えてやる」と。
余計なお世話だ。
しかも必要ないトゥクトゥクまで手招きして呼びやがる。
近くの人がニヤニヤしていたから、彼はくせ者なのだろう。
とはいえ、バンコクでは殆ど声が掛からない。
こころ安らかに散歩の出来る街だ。
これは面白いのか、それともつまらない事なのか。
今回ここまでの旅にしても油断して結構食われている。
日本的な信頼感が通じない世界はやはりあると思う。
もちろん日本にだって悪ははびこっているだろうけれど、どこの国に行こうがちょっとした悪意は日本よりもはるかに多い気がする。
油断したままではまずいのだろうが、かといって疑い深く世知辛く生きるのはもっと嫌だし、大怪我しない程度ならば私などは彼らに食われてやるべきなのだろう。
そう考える事にする。
夜は戦勝記念塔そばのサキソホン。
宿からは77番エアコンのバスで一発。
12B=33円。
お客さんからのリクエストでミスティーをファンキーなハネものにして演奏していたが、自分の反応としてはストレートアヘッドもいいんだけど、こういうビートの方がこころ浮き立ってしまうのが正直なところ。
これは性分だから仕方ない。
途中から入ってきたボーカルのお姉さんも元気いっぱいで、中々良いライブでした。
ライブを観るならば、昨晩のブラウンシュガーよりも今晩のサクソホンの方が、平均的には良い場所で演奏を楽しむ事が出来るだろう。
そしてこの店にはミュンヘン製のデュンケル生が入っているのが嬉しい。
1パイント190B=394円。
超安っ!
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