やはりやっていない 29 sept. 2006
混まないうちにインターネットしようかと思い、朝9時半頃に店を訪ねてはみるが・・・
今日もまだ閉店していた。
オフィスアワーは9時からって書いてはあるんだけど、全くアテにならない。
そういえば、昨日泳いだ帰り道にうっかりと背中の辺りを中心に数カ所、ブヨに刺されてしまった。
痒くて、夜中に鳥肌が立って目が覚めた。
ブヨは蚊と違って羽音を立てないし、また刺された時のチクリという刺激がないので、追い払う事が難しい。
泳ぐのに虫避けを塗っていっても意味がないし、困ったものだ。
蚊の痒みはすぐに収まるが、ブヨの痒みは3日間程強い痒みが続く。
また、大きくコブのように腫れるのも気味が悪い。
ネットは閉店していたが、集落に出たついでにロティチャナイを朝ご飯に買って帰る。
ロティチャナイ
インドの食べ物らしいんだけど。
薄く伸ばした小麦粉の生地に、お好みの具をはさむもの。
具には卵やチーズの他、甘いパイナップルやバナナなどがある。
具のないプレーンや卵、チーズにはカレーソースが、甘い系には蜂蜜が付いてくるので、これをからめて食べる。
結構美味しい。
値段はプレーン1RMから具によっては3RMまで。
マイルスデイビスの、ハンコックがいた頃のアルバムや、キースジャレットのアルバムをかけながらピアニカを練習する。
たまたまどちらのアルバムにも「ステラ・バイ・スターライト」が入っていた。
マイルスの、グループはともかくとして、本人の演奏自体は苦手な人も結構いるようだけれど、あの色気はやっぱすごいな。
キースはエルナンロペスやゴンサロみたいにテクニカルではないけれど、彼は彼の、百パーセント自分の弾きたい音を紡ぎだしているような気がする。
この自由奔放さには刺激を受ける。
なにか勇気づけられるというか。
私も自分の思うがままに弾けばいいのかって思わせられる。
また、ピアノトリオがやりたくなった。
あんまり天気が良いので練習もそこそこにして泳ぎに行く。
雲一つないし、波も穏やかだから昨日よりは透明度が高い。
今日は波が穏やかなせいか、海面に何の浮遊物もない。
鏡のように綺麗だ。
これならクラゲも発見しやすい。
ま、今日は殆ど見かけませんが。
途中、黄色い帯の入ったアジ科の魚が深い場所を回遊する姿や、鯛科の華やかな魚を目にする。
本日、珍しくサヨリの大きいヤツが海の中層を泳いでいるのを見かけた。
いつもはコイツ等表層しか泳がないのだが。
死んだフリをするかのように、ぷかーっと仰向けになっては遊んでいる魚がいる。
変な習性だが、魚にとっても、この海のこの時間は安全過ぎて暇なのだろう。
おっ、大物だ!
と思ったら、ダイバーが3人、海の底に潜っていた。
ダイブ、あれはあれで気持ち良いのだろうか。
私は生来、何かを身につけるというのが嫌いなタチなので、あのウェットスーツというヤツに抵抗を感じる。
それにボンベ・・・考えただけで面倒そうだ。
人間、裸一貫が良い。
金銭でも仕事でも、それから遊びでもそれ等に縛られるのは嫌だな。
義務に感じた途端、身に付けた途端にそれ等は魅力を失いがちになる時がある。
こうして素肌で海面近くを泳ぎながら、海中の風景を眺めるのがイィ感じだ。
とはいえ義務といえば、背負ったからこそ張り切って頑張れる一面もあるから、人間とは矛盾したものである。
人間性は一面で語る事は出来ない。
あれも自分、これも自分。
同じようにあれも彼、これも彼。
これが彼女ならあれも彼女。
だから紋切り型に一人の人間を評価する事は出来ない。
人間は他面性を持つ上に、時間軸上においても変化する。
あの時の自分、今の自分。
あの時の彼、今の彼。
今の彼女、少し前の彼女。
諸行無常。
物事はすべて一定ではなく変化し続けている。
だから尚更、一人の人間に対しての評価を断ずる事は出来ない。
さらに、一つの物事は見る方向を変えると別の面が見えるという事もある。
色即是空。空即是色。
実体のあるものが空である事、空なものに実体がある事は、これまた物事の真実であろう。
人間化けるものだ。
私はそんなお化けをたくさん見てきた。
たとえば子どもに対して、私は彼等をなかなか子供扱いする事が出来ない。
彼等はわずか数年後、遅くとも十数年後には大化けするのである。
たまたま私が出逢った子どもたちは、いずれも素晴らしい、尊敬出来る大人となっている。
しかしそんな事実を確認する以前から、今現在は子どもの彼、彼女の背中に成長した時の姿がオーバーラップしてしまい、つい彼等を子供扱い出来ないでいた。
これは果たして良い事なのか、どうかはわからないが、私はだからつい、子どもにたいしても敬語を使ってしまう。
また私の見て取る彼等の一面が、彼等を代表しているとはなかなかわかるものでもない。
一見未成熟でも、大人に話すように語りかけた事に対して案外きちんとした反応を示すものだ。
ま、これもたまたまそういう出逢いに恵まれただけなのかもしれない。
中華系宿のダイバーショップ前沖合にある珊瑚はやはりすごい規模だ。
海上でUターンして桟橋方面へと戻る。
海から上がるとインターネットの店は開いていた。
また、今日もお爺ちゃんのビール屋はどこかに消え入りそうになりながらも開店していた。
ありがたい事である。
部屋に戻ると1時間半ほど時が過ぎていた。
これくらいが丁度良い運動だ。
今日も湾内を端から端まで泳いできた。
気の向くままに寄り道して海中を眺めながら泳ぐから、案外結構な距離になっていると思う。
世界で三番目に出荷量があるという、スコールを1本開けて、こうしてW-ZERO3に出来事を書き付ける。
ふとゴンサロのコピーがしたくなるが、MP3プレーヤー+アンプレスのスピーカーからの音ではどうも聞き取りづらい。
原始的だが、スピーカーをソニーのMDレコーダー付属内蔵マイクへと向けて音を流し、そちらに録音してみた。
これで録音したものをMD MZ-B10内蔵のスピーカーから出してみたら思いの外、聞き取りやすい。
一見とても小さくておまけみたいなスピーカーだけど、一応アンプで増幅されるらしく、なかなかの優れものだ。
Hi-MDウォークマンも買ってはみたけれど、同じソニーのMZ-B10はなかなか便利で手放す事が出来ない。
これの内蔵マイクはヘタな外付けマイクより高性能だし、スピーカーも結構明瞭に鳴る。
スピード調整が手軽なのも良い。
ゴンサロのアウトの仕方は一種独特だ。
いまだにそのセオリーがよくわからない。
はっきりとイメージできない音はアドリブで使わない方が賢明だろうが、いずれはああいった音遣いもイメージ出来るようになりたいものだ。
日本人には日本人の感性が持つ魅力があるが、彼らキューバ人の持つイディオムは私にとって非常に魅力的に映る。
そのタイム感や音遣いに。
考えてみれば、今、ルドゥウィグやペドロさんとこうして日本で一緒にライブが出来る事は、なんと幸せなことであろうか。
彼らは私の持ち得ないものをたくさん持っているから、一緒に音を出すと常に考えさせられるし、また刺激的だ。
それに勿論二人とも世界レベルの大変優れたミュージシャンだから、一緒にやっていて心地よい。
さらにはリハや本番を通じて、自分の曲に思いがけないアイデアをも提供してくれる。
昼下がりに集落に出る。
お爺ちゃんのビール屋でスコールを6本買う。
20RM(600円弱)だ。
しばらく部屋でピアニカを練習していると、やたら外の風が強くなる。
しかし、このピアニカはいいぞ。
ヤマハP-37D。
強音から弱音まで、低音から高音まで反応にストレスがない。
帰国後、スズキのPro V2と、どちらをメインにするか迷うところ。
休憩がてらビールをもう1本開けて、部屋の前によく来るカワセミを海に向いたベランダから観察してみた。
ほぅ、あんな声で鳴くのか、見た目の可愛さに似合わず結構ワイルドだ。
夕方、日が暮れそうな頃、興が乗ったのでビールを3本も開けたあとだったが、再び泳ぎに行ってみた。
夕暮れに海中の視界も利かない。
桟橋の向こう、いつもは浅いところを通り抜けてしまう、サランサヤンリゾートの沖合へ向けて泳いでみた。
なんだ、結構珊瑚があるじゃないか。
しかし・・・なぜか珊瑚の周辺に限ってクラゲが群れている。
いくつかの珊瑚礁を遠目に眺めるだけにとどめて、桟橋のサランインダーリゾート側へ向けていつものように泳ぎ出す。
うわっ!
間一髪・・・。
気が付いた時にはマジ鼻先にクラゲがいた。
やはり夕方で海中の視界が悪いのは恐ろしい。
興ざめしたので、今日はこれで海からあがる。
夜にかけてひたすらアドリブの練習。
なんだか山籠もり、秘密トレーニングの様相を呈してきた。
ここは海が目の前だけど。
作曲はちょっと自分では理由もわかっているんだけれど、枯渇気味で打ち止め。
ま、既に10曲くらい作ったからよしとしよう。
夜、レストランは相変わらず閑散としている。
今にして思えば、到着した土日のみ賑わっていたかな。
オレンジとパイナップルのジュースは3RM、100円弱だけど、百パーセントで美味しいよ。
キューバの美味しい百パーセントオレンジジュースやマンゴージュースは5円くらいだけど、ま、普通、他の国であの値段はあり得ないかな。
ご飯のあと、桟橋を散歩した。
今日は集落に地元の人が多い。
昼間、子供が一斉に船から下りてくるのに出くわしたけど、どうも彼らは週末のみサランに帰ってくるのかな。
また、桟橋脇のレストランは白人で賑わっていた。
砂浜にパラソル、というのがよいのか。
インダーはガラガラだったんだけど。
桟橋の灯りに魚が集まっている。
鰯系の魚、昼間見かける同じ魚の群れより、夜のものは個体が二まわりほど大きい。
釣りをしている人がたくさんいる。
イカのルアー釣りだ。
見ていると、あっという間に釣れる。
投げる度、海中でルアーを追いかけるイカが数匹見える。
イカは堤防に打ち上げられると、透明から黒っぽく色を変えるものもある。
またスミを吐き出すものも。
これには要注意だ。
イカ
釣りをしていたお姉ちゃんがわざわざ一度はずしたルアーをイカの口にもう一度つけて、写真撮れよって見せてくれた。
ちなみにマレーシア語で「サカナ」は「イカン」である。
集落で、今や日本では殆ど見かけなくなった三毛猫を二匹見かけた。
島の三毛猫
しかしマレーシアは猫ばかりだ。
なぜか犬は滅多に見かけない。
また、お爺ちゃんのビール屋を覗いてみたら、今日は動いていた。
お爺ちゃんはいつも見かける度に蝋人形の様に動かないでいる事や眠っている事が多いんだけど、何か良い事でもあったのかな。